■世界の文字で遊ぶ前に

はじめに・おことわり

■はじめに(小冊子時代の前書き)

◆世界には、3000をこえる言葉があるそうです。そして、それらの言葉の中には、 それを書き表すための独自の文字をもっているものがあります。 数からすると、話し言葉だけで、文字がない言葉の方が圧倒的に多いのだそうですが、 それでも世界には200をこえる種類の文字があるそうです。(この数字には、今は使われなくなった昔の文字も含みます) 特にアジア各地の言葉の多くが、独自の文字をもっています。

◆ところで、世界の文字は、それぞれに特徴のあるいろいろな形をしていますが、 その仕組みや書き方もいろいろです。日本語の文字は、たて書きにも横書きにもしますが、世界の中には、 英語のアルファベットように横書きにしかしないものもあれば、モンゴル文字のようにたて書きにしかしないものもあります。 また、同じ横書きといっても、ラテン文字(アルファベット)のように左から右に書くものだけでなく、 アラビア文字やヘブライ文字のように逆に右から左へ書くものもあります。

◆また、今、世界で使われている文字のほとんどは、日本語のカナのように、 文字そのものには意味がなく音だけを表す表音文字ですが(ほとんど唯一、日本語や中国語で使う漢字だけが、 文字一字一字が意味も表す表意文字です。)、その表音文字の中では、 ラテン文字のように母音(aiueo)と子音(k s t n hなど)を組み合わせるという仕組みのものが多くて、 カナのように母音と子音の組み合わせ(音節)を一文字にしたものは、めずらしいようです。 中には、インドのデーヴァナーガリー文字のように、ローマ字とカナの中間のような仕組みの文字もあります。

◆こうして、いくつかの文字を見ただけでも、世界は本当にいろいろなんだということを感じます。 本当は世界中を旅行して、世界中の人と話をしたり、遊んだりできると楽しいのですが、 なかなかそうもいきません。でも、世界の文字で遊んでみれば、ちょっとした世界旅行気分になれるかもしれません。 というわけで、これから世界各地の特徴ある代表的な文字をいくつか選んで、遊んでみることにしましょう。

◆ところで、突然ですが、日本語でもモンゴル語でも韓国語でも英語でも言い方がかわらない言葉ってあるでしょうか? そんな言葉なんてあるの?という人もいるかもしれませんが、 実は、あなたも知っている言葉があるんです。

◆それは、あなたの名前です。もし、あなたがモンゴルへ行ったとしたら、 モンゴルの人はモンゴル語であなたの名前をなんて呼ぶのでしょうか。 もちろんあなたの名前は、日本語でもモンゴル語でも同じです。つまりあなたの名前は世界共通語! (多少その国のなまりになるでしょうが)ということは、日本人の名前でもその国の文字で書かれることがあるはずです。 そこで、日本語の五十音を世界の文字で書いてみたらどうなるかということで作ったのがこの小冊子(ホームページ)です。 これを使って、自分の名前を世界の文字で書いてみたら楽しいと思いませんか!

■おことわり

◆世界の文字で、日本語の五十音を書き表す場合、いくつかの問題がおこってきます。 世界のいろいろな言葉にくらべると(英語や韓国語など)日本語の音の種類は少ない方のようなのですが、 それでも日本語にあってその国の言葉にはない音というのがあります。 日本語では区別している音をその国の言葉では区別していないということもあります。 そういうときは、できるだけ似た音を表す文字でかわりにすることになります。 日本語でもカタカナで外国語(外来語)を書き表しますが、同じようなことがおこります。 例えば英語では、バレーボール「バ」とバスケットボールの「バ」の発音はちがうのですが、 日本語にはバレーボールの「バ」の音はないので、日本人には同じような音に聞こえるバスケットボールの「バ」で代わりをさせています。 (バレーの「バ」は、[v]で、バスケットの「バ」は[b]、さらにその中に含まれている母音「ア」の音も違う)

■さらに重要なおことわり

◆国によっては、外来語としての日本語(例えば日本人の名前や日本の地名) を自国の文字で書き表す方法がある程度決まっているところもあるようですが、 この「世界の文字での五十音図」は、必ずしもそれの通りになっているとは限りません。 それどころか、その外国語についの知識が全くない者が、 近くの書店や図書館で手に入れることのできた数冊の本などを参考にして作ったものですので、 そうとうな間違いがあることが確実に予想されます。あくまでも遊びということでご勘弁を…。


■改訂版・はじめに(ホームページ開設時の前書き)

◆この「世界の文字で遊ぼう」は、一小学校教師が、国語でのローマ字や仮名遣いの学習の発展として、 また社会科での国際理解や異文化理解の一助として(実際は、単なる思い付きと個人的な趣味なのですが) 作ったものがもとになっています。最初は、一切の外国語について何の素養もない者が、 手近にあった何冊かの外国語の入門書を参考にして勝手に作ったもので、不正確というより、 かなりのでたらめと言った方がよい代物でした。それで、一応、小冊子が出来上がると何とかもう少しましな物を作りたくなってきました。

◆しかし、自力ではこれ以上どうすることもできません。 そこで、無謀にも先の間違いだらけの小冊子をそのままホームページにして、 インターネット上に公開することで日本中の方の知恵を拝借しようと企てたわけです。 名付けて「世界の文字で遊ぼうプロジェクト」。いくつかの有名検索サイトにも登録をし、 外国語の文字をあつかったサイトにリンクの許可を申し込んで、相互リンクをはってもらいました。 すると、さすがにインターネットの世界は広いもので、多くの方からメールでご意見をいただくようになりました。 五十音表の間違いを見つけて指摘して下さる方、時にはややきびしいご批判をくださる方もありましたが、 親切にも詳しい資料のコピーや間違いを添削したりしたものを郵送して下さる方、 詳しい人を紹介して下さる方など多くの方にご協力をいただきました。

◆ついでながら、外国語の素養のない者が勝手に作ったサイトだとことわっているにもかかわらず、 何人かの方から外国語について教えを乞われたり、出版社などのまともなサイトからリンク許可の求めがきたりして、 困惑しています。

◆こうして、いくつかの文字については、大学の研究者という方や大学院の留学生といった方からのご教授などもあって、 かなりまともな内容のものになりました。そこで、これまでのホームページ上で修正をした内容はもとより、 訂正の必要がありながらほったらかしになっていた部分なども訂正をして、一応全面的な見直しを行って改訂版を作ることにしました。

◆当初、改訂版では、五十音表について活字版と手書き版の両方を掲載する考えでしたが、 時間の都合と(これが最大の理由)、いくつかの文字について正しい手書きの方法についての資料が手に入らなかったために、 活字版のみとなりました。本来は、自分の名前を書いて遊ぼうという趣旨から、手書きの文字こそ意味があるので、 なるべく鉛筆やペンなどの手書きでまねやすい書体の活字を選びました。 例えば日本語で言うと明朝体のように縦画と横画で線の太さがかわったり、 横画の最後に▲の装飾部があったりするものではなくて、太さが変わらず装飾のないゴチックやペン字、 手書き系の字体を使うようにしました。また、文字によっては活字体に対して決まった形の筆記体があるものがありますが (英語の筆記体など)、簡単のためにブロック体や活字体を手書きすることを目指しました。

◆まだまだタイトルから「試作版」の文字はとれませんが、一応全面改訂を行いました。 試作第3版をご笑覧下さい。